次の写音会。


次回の開催は未定です。





写音会とは。

写真家・伊東俊介と ベベチオ・早瀬直久による、
2010年にスタートした新しいライブイベント「写音会」。
これまで関西各地のギャラリーや屋外などで開催し、
回を重ねるごとに新たな演出と手法を加え発展してきました。

真っ暗な空間に大きく映し出された伊東のあたたかな写真と、
早瀬のやさしい歌声が溶け合い、
見る人をひとときの旅へと連れ出します。

歌声にのせて映し出される知らない景色、街角、人。
そこに生み出された空間に身を委ねていると、
それぞれの幼い頃の記憶や大切な人を想う愛しい気持ちが
不思議と呼び起こされます。

そして写音会を見た後には、
なんでもないいつもの風景が穏やかに輝いて見えるはずです。

 




これまでの写音会。



2015年9月27日(日)
14:00open / 15:00start
会場:rizm
兵庫県篠山市今田町下小野原7-2
フード:シチニア食堂・colissimo
 





2014年9月28日(日)
14:00open / 15:00start
会場:rizm
兵庫県篠山市今田町下小野原7-2
フード:シチニア食堂・colissimo
 




2013年9月29日(日)
14:00open / 15:00start
会場:rizm
兵庫県篠山市今田町下小野原7-2
フード:シチニア食堂
 




2011年5月7日(土)
日没start
会場:ギャラリー夢雲
奈良県宇陀市室生区向渕415
※伊東俊介写真展「目玉」イベント内で開催
 




2010年12月10日(金)
20:00start
会場:HEP HALL
大阪府大阪市北区角田町5-15 HEP FIVE 8F
※「アルバムEXPO」イベント内で開催
 




2010年5月16日(日)
16:00open / 17:00start
会場:いとう写真
大阪府大阪市西区南堀江4-25-1 東芝ビル本館3階S
 

 




プロフィール。

写真:伊東 俊介[いとう しゅんすけ]

1971年生まれ。『BRUTUS』や『カメラ日和』、『天然生活』など様々な媒体で活躍の写真家。「あたらしいふつう」を提案する雑誌『Re:S(りす)』の表紙を始め殆どの写真を手掛ける写真長を務める。2004年頃より家族写真を撮り始め、『Re:S』との出会いにより『いとう写真館』の原点となる『りす写真館』という形へ繋がり、島根県松江市を始め各地で開催。その後、より多くの方に様々な開催場所で撮影していただく機会を増やす為、2011年より『いとう写真館』として個人の活動を拡大。家族写真を撮るという大切さを伝えるべく現在まで日本各地にて開催。写音会の記念すべき第1回目は2010年5月いとう写真事務所にて行われた。
音楽:早瀬 直久[はやせ なおき]

1977年生まれ。シンガーソングライター。芸大在学中に制作していた自主映画の劇中劇を書いた事をきっかけに2000年『べべチオ』結成。ボーカルとギターを担当。現在までに自主制作CDと3枚のミニアルバム、2枚のフルアルバムをリリース。2013年より放映中の森永乳業マウントレーニアTVCM楽曲『ブラウニー』を2014年5月7日配信リリース。音源制作やライブはもとより、多岐に渡るソロ活動も展開中。また『暮らしをもっと掘り上げる』をコンセプトに様々な分野で企画運営し、大人の埋れがちな日々のあそびを追求するプロデュースユニット『ragumo』にてプロデューサーとしても活躍中。
 



shaonkai.com
OPEN記念対談。
(伊東俊介 × 早瀬直久)
―― お二人にとっての写音会とは?
はやせ: 僕は普通のライブと写音会の違いは歌ってる感じも違うし、聴いてもらってる感じも違う、なんか速度がゆっくりなんですよ。
普通のライブやったら歌ってる僕を見るじゃないですか。
僕越しの何かを見ていたり、後ろを見てたり、その雰囲気を見てたり。
なんかこう聞いてる、見てる感じがちょっと違うんですよね。
イエーイ!って言った時のみんなの反応の感じでもいい具合にゆっくりしてる。でもすごい盛り上がってるんですけどね。
で、なんか『うつる』っていう感じがすごく最初の頃にして…速度が違うなと思って。
いとう: 一番最初に結構感じてたんでしょ?
はやせ: 病気みたいにいつしか咳でて「あれ俺も熱でてるわ」みたいな感じがすごいするなぁっていうのがあって。
ほんとに壁に『うつる』、声が写真に『乗りうつる』、とかいろんな『うつる』があって、スタッフの間でもみんな回を重ねるごとに自分がやっている感というか自分も参加してる感というか、演者の感じが乗り移ってどんどんバージョンアップするし、太くなってくるし、俺らのやる気も目標というかやりがいとかがでかくなってる感じがして。
いとう: 関わっていく人、作ってる人が増えてるもんね。最初の時ってまぁ基本二人で作ってたんやけど今はみんなで作ってる感じ。
写真撮る側もやっぱり映画一本作るくらいのパワーがいる。
 
はやせ: なんやろ…大変な分、儚い分、例えば伊東さんやったら写真撮ってどっかに掲載されるとか、残る方が多いじゃないですか。
(写音会は)ライブであの時の流れでほんまにその時伊東さんが見た景色のように流れていって終わりじゃないですか。
その感じって他にはないですもんね。
いとう: ないない。なんか…切ないよね(笑)
はやせ: そこがすごく存在が同等というか音も画も…
例えば照明の子も普段OLだったとしても、やり取りしながら、みんな儚い…だから目撃してほしいですね。
ほんとにただただ僕は思う。
いとう: 見に来てほしい。
はやせ: みんなたぶん想像すると思うんです。「写音会、写音会」って伊東さんも早瀬さんも言うてるけど、
写真を映してそこで歌うだけやろ?と思って想像して見てる人もいると思うんですけど…
いとう: スライドショーと全然違うもんね。そこは絶対言いたい。
 
はやせ: 今まで回を重ねるごとにどんどん表現が豊かになってきてますよね。
そこは大事にしながら、でもあんまりマッチョになり過ぎず、いい塩梅で画も歌も生きるように、で箱にも恵まれ、いいとこに出会ってるからどんどん新しいモノも僕ら表現出来るし、歌だって写真だって無限に出来る。
これだから無限×無限やなと思いますね。表現の手段として。
やっぱり音の響きと場所でピンときて始めたこの写音会、どんどん大きくなってますから。
いずれ日本問わずやってみたいですね。
いとう: 前、最初に言ってたけど流氷で…
はやせ: はい。僕はもういつか絶対流氷で歌うていうのもうイメージ出来てますから。
「シーン…」て音が聞こえる、みたいな。ほんでゴツゴツうるさいんですよ。でも人の声は届いたりするという…
で、細かい話になるんですけどケネス・ブラナーの「フランケンシュタイン」ていう結構有名な映画の一番最初でフランケンシュタインが自分で死ぬか、孤島に残るか、流氷の上で答えを考えるみたいなシーンがあるんですけど、そこを見て「流氷の上で俺もいつかなんかしたい!」って小4ぐらいの時に思ったんですよ。
自分が歌うようになって写音会で合致したんですね、そこで。やらざるを得ないぐらい。
なので流氷をやり遂げて日本にはいろんな良い所、白い壁で雰囲気の良いところきっとあるからそこでさせてもらって、呼んでもらって、流氷行って海外ですね。夢ですね。
いとう: 行きたいですねぇ。でもまずは日本のみなさんに!
 
いとう: 僕わりと写真撮る時に、映画の感覚で撮ってんねんな、て気付いたんですよ。写音会で。
普段撮ってる時に「写真を撮ろう」と思って撮ってたんですけど、おんなじ構図、アングルで撮るのって割といっぱい撮る人多いんですけど、僕は数枚撮ってすぐ変えていくんです。
それが写音会で40枚50枚の写真で1曲作るみたいに構成するから、それ見たら「これ俺の撮り方って映画に近い感じで撮ってたんやな」みたいな。
それが早瀬くんの歌とくっついて気付いた感じはあったな。
映画でもない、写真でもない、ライブでもない、みたいな。
はやせ: 写真なんだけど映画に向かっていってる途中をみんな見てるみたいな、
写真が映画になっていくその途中を僕らが作ってるっていう感じですよね。
みんなのイメージできるような、例えば一枚の動かない写真がある、で僕が1曲歌う、と。
そこを動かして見ているのがお客さんなんです。
いとう: 中間やね。みんなの頭の中で動いてる、というか。
はやせ: 僕らが動かす、ていうかね。
歌だったりそこの雰囲気だったり、もちろん箱も利用してサイズだったり距離だったり。そういう事を出来れば豊かですよね。
―― これからどんな人々に届けたいですか?
はやせ: いやーもう、全員ですね。例えば、受刑者の人たちの前でやったとしたら…自分が道を外してしまったことに自覚があれば、道を外れる前のことを思い出すことができるかもしれない。有名人が来て歌うよりも意味がある。
例えば卒業式で、前回の写音会のブラウニー(はやせの父母が出会ってから結婚するまでの写真)のように、子どもたちの生まれてから小6までの写真をたどる。「あーこんなに成長したんやな」って、感じる子は感じると思う。
歌と一緒になることで、すごいパワーを持って、春からの新生活に背中を押してくれる。
何か始めるとき、決断するときに見てほしい。何もなくても、見たそのときが、その人の節目になるのではないかと。
 
―― 二人にとっても特別な写音会という時間には、演者なのに思わず入り込んでしまう瞬間があるように思うのですが?
はやせ: もちろんあるある。
いとう: この前(5回目。感動して泣きながら登場したこと)が最たるもの(笑)
はやせ: お客さんに舞い上がってんのかなって思われるのはあかんなと思いながら…
―― それでも垣根が崩れるそうになる瞬間が…
はやせ: 写真って昔のことじゃないですか。
写真はこれまでの自分を肯定してくれようなもので、俺の歌も同じ。
否定する歌って無くて、「大丈夫やで」って言いたいから。だから、感情移入してしまう。
時間や空気を作るのは僕なので、演者としてやらないといけない。でも、自分が感動してしまっていることも含めて写音会なのかなと。
気づいたら「あ、本番やったわ」っていうくらい、入り込んでいるのはしょっちゅう。

―― 写真家の伊東さんは、会場で撮った写真がその場でそのまま映し出されるリアルタイム写真についてはどうお感じですか?
いとう: あれ、めちゃめちゃ恥ずかしいんです。ほんとは見せたくない部分。
一回自分で確認して、いいものだけ見せたい。だけど、ブレッブレの写真があっても、それはそれでライブ感やと思う。
はやせ: 普通なら人に見せる前に自分で確認するっていう、“途中”の作業があるけど、写音会はそんな“途中”も見せる場。
 
いとう: 作る途中を見せられる場というのも、写真屋にとっては刺激的。
これまでリアルタイムで映し出すと言っても、カメラからデータを出して、パソコンに読み込んでって作業があって、本当のリアルタイムではなかった。
ワイヤレス機能が使えるようになったことで、技術的にもやっと完成した感じ。
あと、普段みんなが目にする写真って、選び、編集されたもの。でも本当に良い写真って、ぶれてようが「ええに決まってる」と思うんです。
思い出の写真とか、大切な人の思いが宿った写真って、勝てないんですよ。
はやせ: 写真の良さの答えって、こういうところにあるんですね。
「アート」をはねのけるパワーがある。素人写真だからこそ良いもの。うまい下手ではないんですよね。
いとう: 写音会は、写真家が絶対勝てない、そんな写真と並べられてしまうという、撮り手の刺激もある。
お母ちゃんが子どもを撮った写真にかなうものはないって、もう知ってる。
写音会は、自分が撮った写真と、そんな普遍的な良い写真との距離を確認するというか。
「あ、全然近づいてへんわ」って。
写真家として忘れていはいけない、撮り手の役目が確認できる。
これからは、行く先々の現地の人からそれぞれの写真を集めて、一曲やってみたいです。
はやせ: 場所と時間が変わればなんぼでもできる。
無限の可能性があるんですよね。
  (2014年冬、いとう写真事務所にて)